赤あご電車男
今日は「国際ノーダイエットデー」らしい。
ダイエットの潜在的な危険性と成功の可能性に対する認識を高める日なのだという。
つまり、食欲を解き放つ日である。
小学生時代の私に聞かせてやりたい素晴らしい日だ。
私は小学生時代、クラスで1、2を争うデブキャラであった。
とにかく食欲がすごかった。
常に右手にソフトクリーム、左手にマルセイバターサンドの箱を持っており、さながら自由の女神像であった。
主食は左手に持ったマルセイバターサンド。
一日で箱にぎっしり入ったバターサンドをすべて平らげてしまう日もあった。
六花亭の文字通り太客である。
野菜は食べない。
当時まだ野菜の存在を知らなかったと思う。
あごは二重。ヘルメットをするとあごの肉を巻き込んで毎回真っ赤に腫れ上がる。
赤あごと恐れられた。
魚の特定地域での呼び名みたいだ。
プールの授業において、バタ足で上がる水しぶきの量が尋常じゃない。
葛飾北斎は私の泳ぎをプールサイドで見学して、あの絵を描いた。
少しでも運動しようものなら、
フシューーー!!!
という音を口から出す。
多分みんな電車が止まった時の音だと思っただろう。
私の呼吸の音である。
そんな私であったから、あの頃は毎日がノーダイエットデーであった。
そう考えれば、小学生の私に「国際ノーダイエットデー」の存在を知らせても無意味というものだ。
過度なダイエットはよろしくないが、暴食もまたよろしくない。
赤あごと呼ばれないために、
富嶽三十六景を描かれないために、
電車と間違えられないために、
明日からは適切な食生活を心がけていきたい。