自粛期間最高の暇つぶし、「ひとり神経衰弱」
お題「#おうち時間」
まだまだ自粛期間が続く中、最高の暇つぶしを見つけた。
「ひとり神経衰弱」である。
ルールはたいへん複雑で、ひとりで神経衰弱を行うというものだ。
人間の記憶力の限界にひとりで直面する遊びである。
どうせやるならと思い、神経衰弱のコツをネットで調べた。
いろんな方法が出てきたので何個か試してみて、それを改良し、自分に合った方法を編み出した。
神経衰弱をどうしてもやらなければならないときに備えてメモを残しておくことにする。
①カードを頭の中で4つのグループに分ける
②4つのグループそれぞれを自分の家の「玄関」「風呂」「机」「ベランダ」に置き換える。
③カードの数字にそれぞれ色を割り当てる(3は緑、5は青、Qはピンクといった具合)
④あとは、カードをめくった場所に、出てきた数字の色を頭の中で塗っていく(「玄関」のグループで3が出てきたら、自分の家の玄関に緑色を塗っていくという具合)
これでだいぶ勝率が上がってきた。
といっても、もちろんひとりでやるので自分との戦いである。
この遊びをしばらくやってみて思ったのは、文字通り神経が衰弱する。
どこに求めているカードがあるか必死に思い出そうとするため、だんだん集中力が落ちてくる。
ここだ!と思ってカードをめくって全然違う数字が出てきたときには、人間の記憶力ってこんなものかというショックを受け、精神的に疲れる。
あと、なにより、「私はひとりで何をやっているのだ?」というみじめさを味わうことになる。
そうして神経が衰弱してくると、私はすかさずエンヤを聞く。
爆音で聞く。
頭の中に大草原が広がり、すべてリセットされる。
トランプたちによってめちゃめちゃに塗り散らかされた家が浄化されていき、またひとり神経衰弱ができるようになる。
そしてまた集中力が切れ、記憶力に辟易し、みじめさを思い知る。
エンヤを聞く。
家がきれいになっていく。
この繰り返しである。
だんだんエンヤを聞く時間のほうが長くなってくる。
そうして目をとじて一日を終えるのである。
途中から薄々気づいていたが、エンヤが聞きたいだけであった。