上品なスカンク
動物占いというものが流行った。
生年月日を使った占いで、人々は12種類の動物に分けられる。
コアラ、オオカミ、トラ、黒ひょう、サル、ひつじ、チーター、たぬき、ゾウ、こじか、ライオン、そしてペガサスの12種類である。
ペガサスだけ明らかに次元が違う。
動物占いを最初に考えた人、あんた絶対ペガサスだろ。
自分の動物だけ明らかに優遇しすぎである。
動物占いでは、12種類の動物の中でもさらに細分化されていて、
「サービス精神旺盛なコアラ」
「クリエイティブなオオカミ」
「愛情あふれるトラ」
など、全部で60種類存在する。
ちなみに、ペガサスは
「落ち着きのあるペガサス」
「強靭な翼を持つペガサス」
「波乱に満ちたペガサス」
「優雅なペガサス」
の4種類がある。
動物占いを最初に考えた人は絶対「強靭な翼を持つペガサス」だ。
あからさまである。
誰だって「強靭な翼を持つペガサス」がいいに決まっている。
中学2年生の頃の私が動物占いをして「強靭な翼を持つペガサス」と出ようものなら、自分は特別な人間なんだと勘違いする。
私は何にも縛られないペガサスなんだ、と授業中ずっと窓の外を眺めて一日を終えるであろう。
そんな動物占い、私も何の動物か調べてみた。
これは絶好のつっこみチャンスである。
例えば、「落ち着きのないサル」だった場合、「いや、ただの悪口だろ!」とつっこむことができる。
また、「フットワークの軽いコアラ」だった場合でも、「いや、フットワークが軽いならコアラに位置付けるな!」など、可能性は無限大である。
わくわくしながら結果を見た。
「情熱的な黒ひょう」
そこそこかっこいいな。
なんだその動物!と言うほど悪くないし、情熱的ってなんだよ!とも言いづらい。
人生最大のつっこみチャンスを私は逃してしまったのである。
これならもういっそのこと
「原宿にいそうなカブトムシ」とか
「上品なスカンク」とか
「かわいそうなゾウ」とかにしてほしかった。
つっこみのチャンスは逃してしまったが、黒ひょうは結構気に入った。
動物占いのサイトによると、情熱的な黒ひょうである私の性格は
「どんな事にも一生懸命に取り組みどんな人に対してもとてもやさしいので、周囲からは好感を持たれやすくいつも人の輪の真ん中にいます。」
とのこと。
そ、そうかい?
よせやい。照れるじゃないか。
「しかし、1つだけ難点があります。それは感情のコントロールが上手くないということです。」
なんだと!?
感情のコントロールがうまくないって一体どこの誰が言ったんだ!!!
そんなことないだろ!!!
心外である。
「基本的にはとても優しい情熱的な黒ひょうさん」
そうそう、そうなのである。
黒ひょうは慈愛の心に満ち溢れた生き物なのである。
素敵なことば、ありがとう。
「ですが、ひとたび機嫌を損ねるとまるで別人のように豹変してしまいます。」
「気に入らないことがあると感情に出して表現します。」
黒ひょうだけに豹変ってか!
よくも言ってくれたな!
その強靭な翼を食ってくれよう!
動物占いは当たらないということがわかりました。